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第15話

まだ、バレエを習っている子 供の母親だったころ(今でも、そーじゃっちゅうの!・・爆)、私は一冊の本と出合った。私は活字が大好きで、良く本を読む。ある人が、好きかも・・と言っ て、その本を貸してくれた。読み出したら止まらないほど面白かったから、その本を自分で買って何回も何回も読んだ。「世の中には、すごい人がいるもん だ!」と思う一方で、あまりに読みすぎて、だんだんと知り合いみたいな気持ちになってきたぐらいだ(苦笑)。
その中に「カンパニー」という言葉が書いてあった。カタカナに弱い私は、カンパニーというカタカナが、舞台の世界で本来、どういう意味で使われるべきなのか良く知らなかった。団体とか会社とか・・その程度の知識しかなかったのだ(おバカだから・・苦笑)。
なんとなくのニュアンスをつかんで「ほぅー」と感心していた当時。

いつの間にやら、バレエ屋になる事になってしまったとき、名前は絶対に「何とかカンパニーにしよう!!」と決めた。周りはあまり納得していなかったようだったけど・・・。
だって普通、バレエ教室には主宰の名前がついているし、バレエという言葉も当然入っている。なぜそうしないのか??と問われて「普通じゃないから・・・」と応えた(苦笑)。

さて、「何カンパニーにしようかなぁ?」と思って、再びその本をめくる。
その本がバレエはどこを切っても芸術であるべし!と訴えているように自分流に受け止めた私は、それをくっつけることにして「あーと・かんぱにぃ」にさっさと決めた。
その本に書いてある[芸術]や舞台のあり方は、私がずっと求めてきたものだったのだ。
ひらがなにしたのは、カタカナだとおこがましいような気がしたから・・。
そう考えている割にロゴはしっかりアルファベットだ(爆)。
いつか、少しはバレエ教室らしくなったら、その本を書いた人に「ウチの稽古場の名前は、先生の本から付けさせていただきました」と、ファンレターを書こう!!そう思っていた。

しかし!すったもんだの果てに勢いづいて、実際に書いてしまったお手紙は
「ホンモノのバレエを一度でいいから、鹿児島の子ども達や若者たちに教えてください」という、今考えるとあつかましすぎる内容のものだった(苦笑)。名前 の由来には触れなかったように記憶している。しかもとっても汚い字で、あわせて礼儀のかけらもないような文面だったと思う。常識を持ち合わせないのは、全 く恐ろしいことだ(^^;。

そう!その本の名前は「バレリーナ世界を駆ける」(注:機関紙出版)
著者はバレエの神様、涌井三枝子先生、その人だ。

私が一番怖かったのは、本の先生と実際の先生が違う場合・・・。
フレンドリーな本の内容に調子こいて手紙など書いてみたものの、何のお返事も頂けなかったり、遠まわしに断られたりしたら・・単細胞の私はボロボロに落ち込んだと思う。
けれど、先生は私の想像した先生だった。
以来5年間、神様のお導きに「あーと」は支えられている。
手紙を受け取ってくださった先生は、その時思われたそうだ。
「私は、これから鹿児島というところに行ってレッスンをする事になるんだぁ・・・」
と。何の迷いもなかったと、最近話してくださった。

「あーと・かんぱにぃ」が「あーと・かんぱにぃ」と名乗る以上、その名に恥じない舞台を務めなければならない。子供だからとか、初めてだからとか、そんな 理由で手加減されることはありえない。「我がスタジオの名前は恐れ多くも、バレエの神様、涌井三枝子先生の本からなるぞ!」。5年という節目の年だから か、初の全幕だからか、道具や明かりがよすぎたからか分からないけれど、まるで水戸黄門のスケさんカクさんにでもなったような気持ちで、袖に飛び込んだ (勝手に名前付けたくせに・・・苦笑)。

真剣勝負のゲネなのに、舞台袖にダラダラと座り込む小さな子ども達を発見(怒!)。
当然、吠える!
「立てぇー!!誰の許可を貰って座ってる!」
黒服軍団までが座り込んでいる様子に「仕事をする気があるのか!」と吠える!
出番まで、時間があるにもかかわらず、緊急に衣裳替えの必要のある出演者を援護せずに、我が子の衣裳替えに夢中になっている黒服軍団に、また吠える。
「頭、使えって言うでしょうがぁ!!」
吠えまくる私におののいた新人黒服軍団が、そこいらに広がっている衣裳を片付けようとする、
「他の人の衣装に勝手に触るなって言ったやろーがぁ!!」(注:衣裳の早替えのために本人が分かりやすく重ねている場合が多いので、他人が触ると混乱する)
本番時、袖にいるはずのない出演者や黒服軍団に「なんで?ここにいる?本番と同じにしなきゃゲネにならんでしょー!」
涌井先生がガナリを通して、指示を与えているにもかかわらず、分かったのか分かんないのか返事すらしない。「聞こえてんのかぁ!声を出せ!意思表示をせぇ!」と
またまた吠える。
がぁーーーーー!!そこいらの番犬より良く吠える(ご入用の際はご指名ください・・・苦笑)。

上手の袖に張り付いていたはずの舞台スタッフさんが、そーっと遠くはなれて行ってしまったのは、気のせいだと思いたい(爆)。

つづく(次へ)


クラシックバレエ
あーとかんぱにぃ
〒891-0113
鹿児島県鹿児島市東谷山1-11-22
TEL.099-266-6234

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