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第12話

 

メイク仕込みも終盤に差し掛かったころ、また電話(苦笑)。ミカちゃんが拝 むように携帯を見つめて「しゃちょー、涌井先生です!」。ひったくるように電話を手にする私。深呼吸して電話に出た。一幕パーティーの部分の粗を何とかし てくださろうとする涌井先生。小道具にワインをもとめて○○ストアでお買い物をされたとおっしゃる・・・。「申し訳ありません。ありがとうございます。」 と、言ったものの、メイクの筆を動かしながら、天下の涌井三枝子先生に○○ストアでお買い物をさせてしまう「あーと」って・・・・と頭の中が、しばらくは クラクラしていた。

クラクラに酔っていたら、誰かの声が響いた。「涌井先生お見えになりました!!」
「エーー!!」。今、電話で話したのに・・。
とにかく、急いで涌井先生の控え室に走った。ワクイバレエ団の事務局のKさんも、この日、大阪から駆けつけてくださった。ご挨拶をして先生とKさんに昼弁をお勧めする。
「川留さん、私は勝手にやってきたのですから、どうぞお心遣いなく・・」
Kさんはそー言われるが、今どーしても食べていただかないと困るのだ。

なぜなら、もう3時間もするとお二人の夕弁が届くから・・・(爆)。

先生がおっしゃった。「ここは、不思議にドンドンお弁当の来るところですから・・どうぞ、お召し上がりください(^^」。
腹が減っては戦が出来ぬ・・・と言う考え方は鹿児島だけなのかもしんない(苦笑)。

おおらかに、そうおっしゃりながら、なにやらもそもそと手を動かされる涌井先生・・・。(なに?何?)先生の手には何故かアルミホイル・・・え?なんで(?) そして先刻電話でおっしゃっていたワイン(これは分かる。ストアで買われたと言われたもんなぁ・・)。
Kさんの傍には、焼酎の空き小瓶。そして、ワイングラス3つも見え隠れ。へ?と思っていたら、ワイングラスと空の小瓶にお二人でアルミホイルをグルグル・・ぐるぐる。

あら不思議!アルミホイルつきワイングラスの数があっというまに5個になった。

お話を伺ったところ、ワイングラスは先生の常宿(?)の食堂(?)から「ちょっと貸して!」と借りてこられたとか・・。空き小瓶は「それ頂戴!」と・・・。

焼酎の小瓶は口は小さく、首(?)も細く、そこの部分が広い(イメージしてください)。
これにぐるぐるアルミホイルを巻いて逆さにもつと・・・
おおーーー!(一同、歓声)ワイングラスに見える。どんなものでも舞台やバレエに絡めてしまう先生は、やっぱり神様だ!(ほんとに・・スゲェ!)

この即席グラスには、その後の話がついている。私は見てはいないのだけど、ウチの黒服軍団が再び手を加えて、即席グラスにワイングラスの下の部分をアルミホイルで作ったとか・・。ビデオが出来たら、しっかりチェックしなくちゃ!!


そーこーしているうちに場当たりの時間が近付いてきた。
舞台の神様がやってくる。「川留さん、予定通り13:00で場当たり開始できますが?・・」「ハイ、コチラも大丈夫です。宜しくお願いします。」

「では、皆さん、予定通り13:00、場当たり開始します。14:00ゲネプロ、定刻で参ります。宜しくお願いします!」

私は舞台の神様が楽屋を回って、指示を出す声が大好きだ。
元役者の彼の声は心地よい緊張感を与えてくれる。

その声をじっくり聞いて、心を落ち着けて「了解しました。宜しくお願いします!」。

まもなく最大の難関、恐怖(?)のゲネプロ開始だ。
さあさ!皆の衆、気合入れて、行きましょかっ。

 

つづく(次へ)

クラシックバレエ
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