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第22話

   

営業の任務を遂行したら、今度は楽屋へかっ飛ばす。
着ぐるみを着用した出演者のメイクの直し・・・。筆はどこだ!筆は!!
メイクさんも駆けつけてくれて、二人がかりでメイクを施す。今日、何回、顔を書いたかなぁ・・

今頃、舞台の黒服軍団は、雪の撤収作業で大変だろう・・・。掃除機と箒で雪集め。
気になるけれど、メイク、メイク。
誰かが渡してくれた栄養ドリンクをこの時飲んだ気がする。・・・?
ちゃんとお礼を言わなかったような・・・。(遅くなりましたがどうもありがとうございました。)

雪は上手く片付いたかしら?と見に行こうとしたとき、楽屋の前で若手舞台スタッフの皆さんがお話していたので、ちょっとだけ混ぜてもらった。

お題(?)は雪のネタ。
雪の出演者で雪紙キリキリをしたアレである。大きくて降らせにくかったらしい。
「もっと、小さいほうがいいよ!」と言われてメモメモ。
「三角とかも入ってると、もっと違う風に降る雪もあって綺麗なんだよ」。
ほぅほぅ・・・。メモメモ。
「星型とかもいいかもよ!」ほう・・え?

「そりゃあ 無理だぁー」。大爆笑!
舞台スタッフの皆さんは見た目、怖そうに見えるけど・・・密かにおもしろかったりする。

念のために申し上げておくが、遊んでいるのではない。
舞台スタッフの皆さんとのコミュニケーションだって私の任務だ!(爆)。

さて、そーこーしているうちに、2幕の幕が開く。衣裳替えについては余裕がある。
顔も綺麗に書いたし、天使たちの場面の様子を見ようと
ちょっとルンルン気分で客席にいった。
「あ・・・」
私って完璧におバカだ(泣)。
緞前で営業の任務に従事していたとき、足元の雪が気になったのに・・・そのことを黒服軍団に言おうと思ってたのに・・・結局、また忘れてたのだ。
だから、緞前は、雪だらけ・・・。
「おとぎの国」に雪はないよなぁ・・・。
皆さん、ゴメンナサイ。とっても深く反省しております。

2幕に入ったら、舞台スタッフの皆さんにも、ダイブ余裕が出てみえたようで、いっそう和やかなムードだ。
「一幕の時間が凄く短く感じたよ」「あっという間だったね」「客席の感じが凄くいいよ」と、私の気分がいくらでも楽になるようなことを言ってくれる。
ありがたい、ありがたい。
「何もかも、神様方のおかげさまです。ありがとうございます」。

出演者を見かけては、「どーだい?いけるか?気合入れていけよ♪」と声をかける。
本番中はどんなことがあっても私は出演者を叱らない。子供を叱っているお母さんを発見すると漏れなく吠える!出演者のテンションの下がるようなことは避けるべし!
(お母さんに吠えると子供のテンションが下がる場合もあったりする・・・けど・・・。)

出演者のトゥシューズの紐を縫い付けていたお母さんが、「血が出ちゃった!!」と騒いでいた。「え?足?大丈夫?」あわてて駆けつけたら、「大丈夫・・・」とお母さんが言う。
良く見たら、お母さんが自分の手に針をさしたらしい(苦笑)。
「お母さんなら問題ないよ。○○○(出演者)なら、大変だけど・・・」と言ったら
「ひどいーーー!!」。
下手袖一同(爆)、一安心。

スペインのイリが音と同時になっていた。ドロップの関係で舞台の神様のきっかけが踊り手には見えない。舞台監督は音響さんと踊り手に同時にQを出すのだが、状況によっては間に一人入れなければならないこともある。
舞台の神様から「一つだけ頼まれて!」と、Qだし係りに任命された。おしっ!
私のQで出るように・・と上手側に控えているチーに伝えたいのだが、大声は出せない。
一番後ろに並んでいる人から前へ前へ伝言ゲームのように伝えてもらった。
スペインのチーがなにやら不審な顔でこっちを見ていた。でも視線が私と合わない、どうやらライトがまぶしくて私が見えないらしい・・。
再び伝言ゲームでその旨が私に伝わった。チーからも舞台の神様からも私の見える位置を探して移動する。
向こうからチーが大きく○を作って見せた。そこに立って私は舞台の神様の動きに集中。
一瞬のズレもなく始めることが出来た。

フィナーレ最後の緞帳も計算されたように(計算してあるのだろうけど・・苦笑)ぴったりに降りた。ここまでくれば、後は、ドハデに恒例のエンディングをやればいい。

技術とか芸術の分野からみて、大成功だったわけではない。
けれど、とにかく私達は、今、出来ることを精一杯やり遂げた。それで十分だ。

経験したこともないような、安堵感と寂しさが入り混じった複雑な気持ちだった。

私にとって、この全幕は、とても特別なものだったから・・・。

 

つづく(次へ)


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