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第19話

   

舞台の神様が楽屋を回り始める。集合写真の撮影の時間らしい。「ダメダシ」がなくて(泣)
本番までの余裕は出来たものの、あれやこれや最終的な仕込みに時間をとられ、やっぱり、ぎりぎりだった(トロイナァ・・涌井先生はこのトロサを読んでいらしたとか・・?苦笑)。
あと10分で、客入れ(開場 17:30)。ドタバタと舞台に行って撮影してもらう。
受付との連携が上手くいってなくて、撮影中にお客様が入って見えたのは、ちょっと参った(苦笑)。撮影が終わったと同時に、舞台の神様が、速攻、緞帳を下ろした(さすが!)。

あと30分、私に出来ることはなんだろう・・・必死にそう考えながら、楽屋に向かおうとしていた。誰かが叫ぶ
「社長!大変です!涌井先生が受付してくる!ってロビーに行かれました!!!」

「にゃにー!?」

えらいこっちゃ!と走り出す私。地元のストアでお買い物をさせた上に、受付なんて!
マッハで走ったつもりだったが、ナント涌井先生は涼しげに、にこやかに受付レディに納まっていた。
・・・。
背後から「先生、どーぞおやめください。私、困ります・・。」と申し上げたら
「私は、困りません」とおっしゃった。・・・いや・・そーいう問題ではなくて・・・。

ぽっぽさんやイージービデオさんがスクープ写真と映像を狙っている。
「ダメ!写さないで!!」と、慌てふためく私(条件反射だ・・・苦笑)。

何度か先生に辞めていただくように御願いしたが、私の願いは全く聞き入れていただけなかった。しょうがないから私は用心棒になることにした(似合っているからコワイ・・爆)。
例えお客様といえども、涌井先生に無礼を働くやつは許さん!(最も一番無礼なのは私かもシンナイ・・・・悩)。背後霊のように先生に張り付いて、不審な動き(?)横柄な態度をチェックする。ギラリと光る目の力には、子供のころからちょっとした自信を持っている(爆)。

刻一刻と開演の時間は迫ってくる。涌井先生のことは、とっても気になるが、いつまでもここにいるわけには行かない。
あとのことを広報部長とヒロさんに頼み、楽屋に戻ることにした。

出演者の様子を見に行ってみたら比較的落ち着いている模様、直前のアクシデントもなかったらしく安心した。

舞台の神様や明かりの神様、舞台スタッフの皆さんに最後の御願いに上がる(選挙みたいだなぁ・・)ここまできたら、もう神様を拝むしかないのだ。手を合わせて、本当に拝んだ。「どうか・・宜しくお願いします」頼むことしか出来ない私は、無力だと思いながら・・・。

客席の様子をうかがい、再び、用心棒になるため(だから、いらんて!・・爆)に、受付へ戻ろうと駆け出したら、うつむき加減な、黒服軍団を楽屋へ続く階段付近で発見!

(事件か!?)と焦り、「どうした?何があった?」と問いただした。
良く見ると泣いているではないか!

こりゃ、一大事だ!

彼女たちは言う・・。涙にかすれた(?)声で・・・。
「だって、しゃちょうー・・お客様がいっぱいなんですぅ。もうー☆うれしくて♪感動しちゃって☆・・・・。」

「え・・・?」一瞬、苦悩。

「おばかぁ!!」・・・ゼェゼェ。
「そんなことでイチイチ泣くな!心臓に悪い!感動は本番がハネテからにせぇ!」

このとき、せいぜい6割。まったくこの程度の客入りで涙を流すとは・・・(苦笑)。
純粋なのか、なんなのか・・・そんなに「あーと」ってマイナーだったかしら・・・(悩)。

現実に引き戻すために、客席のドアを開け「良く見てみ!満席でもなんでもないよ」
「あれ?・・・」
首をかしげながら、楽屋へ帰っていく純粋無垢な黒服軍団を見送った。

それからも、私は楽屋と舞台と客席と受付を行ったり来たり・・・(別に何をするわけでもないのだけど・・・爆)。
楽屋に走りこんだところを、舞台の神様に捕獲(?)された。
「川留さーん。開演時間、すこしオシましょうか?」。まだポツポツと空席のある客席を案じて、いらっしゃるのだ。

「いいえ、定刻で行きます!」

例え舞台の神様のお言葉といえども、こればかりは譲れない。開演時間を18:00と設定したのなら、18:00にきっかりに開演するべし!バレエ屋になってから、徹底していることのひとつだ。私とお客様との最大のお約束だと心得ている。

ちょっと困ったちゃんの顔をして、それでも私の願いを聞き入れてくれた。
「了解しました。では定刻で参ります。まもなく1ベル 入ります!」

「宜しくお願いします!」第一楽屋中から声が響く。

「こちらこそ、宜しくお願いします」。

舞台の神様の声で、「いよいよ本番だ」と実感するのだった。

 

つづく(次へ)

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