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第13話

   

本番の日になると私の走行距離(?)は、かなり伸びる。
上手袖 下手袖 客席に加えて、楽屋に練習室、ホールロビー、そしてホールの事務所。
メイクの時間以外は、一つのところに留まれない、忍者のごとく、ありとあらゆるところに出没する私。何か確認しなければならない用件が発生したとき、私を 探すのは無駄な努力となる。私に会いたい(いるんかいな、そんな人・・爆)と切望する場合、その場でじっと待つことが最も効率がよい。
きっと「ドケドケッ、どけどけぇーーー!!」とサイレン(?)とともに、走る(っているつもり・・の)私をつかまえることが出来るでしょう!その際、大切 なことは、くだらない用件で私の走行を妨げないことだ。とんでもなくクダラナイ用件だと判断された場合、間違いなく胸グラをつかまれて、壁に押しやられる ことでしょう・・・。

不測の事態に備えて、私はゲネから本番を通しては、あくまでもフリーと言う立場を貫く・・。
大抵は舞台の神様(舞台監督)が常にいらっしゃる下手側に張り付くが、出演者や黒服軍団の動きを観察しつつ、手抜かり!と思われるとことに出没する。時に はお客様にどんな風に写っているか・・客席から覗いたり、サクラよろしく大きな拍手をして、出演者のテンションを上げたりもする。全く忙しい(と騒いでい る割には、何の役にも立っていないような気もする・・・)。

恐怖のゲネプロを迎える直前、楽屋にたくさんの機材を抱えた背の高い男性を発見。「お?」と思ったら193さんと話しているではないか。「きっとあれが、噂のぽっぽさんだわ」と
恐る恐る近付いた。「あ・・、社長!ぽっぽさんです!」193さんがのたまう。
193さんは貧乏な「あーと」のために知り合いのプロのカメラマンさん、今をトキメクぽっぽさんを自腹で雇ってしまった御仁である。ぽっぽさんの撮った写 真は193さんから何回か見せていただいていた。幻想的なとてもステキな写真を撮る方だ。感性の鋭いぽっぽさんの目に「あーと」の舞台はどんな風に写るの だろう・・?
よそ行きの体制でご挨拶をしようとしていたら・・ぽっぽさんが、いきなり「ぽっぽでぇーす」。「あ・・・・」。つられるように「しゃちょーでぇーす。ニッ クネームでぇーす」と自己紹介をしていた(苦笑)。そーゆー訳で、ぽっぽさんを、私の「好きな人ファイル」に早々に入れた(どーゆー訳だよ?・・爆)。

土曜のため仕事だった出演者も続々と到着しゲネプロになった。午前中援護してくれていたミカちゃんは仕事へ戻っていったので、私の携帯が手元に帰ってき た。邪魔くさい!と思っていたら午後からの援護にナカシマが駆けつけたので、そのまま電話はナカシマの元へ養子(?)に出した。中島は後生大事に携帯を握 り締め受付の準備に走る。

一方、出演者はとんでもないことになっている。昨日、先生に言われたことがいまだに出来ていない。本番に舞い上がっているのかなんなのか・・だんだんムカついてきた。大抵、涌井先生のいらっしゃるとき、私はおとなしくしているのだが、とてもとても我慢できなくなってきた。
衣裳をつけるとゼッケンをつけられない。名前を呼ばれないから(特にニューフェイス)、おのおのが自分の注意として受け止めない。舞台の真下に張り付いて、「貴様だよ!」「お前だっていうの!」終いには「バカたれ~!!」と叫んでいた。
よりによってトゥシューズのリボンがだらしなくはみ出しているヤツまでいる。
「バカやろうが!!」と思っていたら、先生から声が飛んだ。
「だらしない!気の緩みの表れです!!」。「そら、みろ・・」
そんな状況に怒り狂って上手袖に駆け込んで、がぁーーー!と吠える私。
親子ともどもガリ飛ばす(注:鹿児島弁で叱り飛ばすの意)!

私の目つきや風貌は、どうみてもヤンキー(今でも言うのかしら??)?良く言ってチンピラな感じ(どーちがうんだか・・爆)。目指すところは硬派なヤクザ な感じなのだけど、貧乏のせいか、今でもチンピラどまりだ(目指すなよ・・苦笑)。時に舞台の神様さえも、わたしの事を「親分!」と呼んだりする・・・ (苦笑)。芸術の世界に最も似つかわしくない生き物だ。その証拠に、今回、初めて明かりのスタッフで[あーと]にやってきた人が、私の目の前で舞台の神様 に聞いていた「あの方、大阪の涌井先生ですよね。で、ここの主宰はどこにいるんですか?」・・・・。
彼には何の罪もない、こんなウンチング(知ってる?)の良く似合うヤクザなバレエ教室の主宰など、日本全国探しても「あーと」にしか存在しない(爆)。

そんな見た目にとっても怖いはずの、私が怒り狂っても、何だか「ぽやん」としている、ニューフェイスたち。
本格的に頭痛がしてきた。

私が下品な粗暴振りを発揮するたびに、涌井先生は呆れるかとても嫌な思いをされていると思う。だから、そんな自分をさらけ出した後は、しばらく先生の視界に入らないように、そーっとそーっと遠回りしてその場を離れることにしている。

いつかきっと叱れれるよなぁ・・やっぱし・・・(苦笑)だって、芸術だし・・・。

 

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