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第3話

   
高速を降りて、一般道路に入るころ、先生がもう一度おっしゃった。
「よし、がんばろっ」ご自身の中に物凄い気合を入れていらっしゃるように見えた。
もしも車を運転していなかったら、私は先生を拝んでいたに違いない。

素人の私には、可愛いメンバーにしてやれることは限られている。思いつく限りの自分にできるすべての事はし尽くした。後は3人の神様に委ねるしかないのだ。

ホールが使えるまでにまだ時間があるので、先にスタジオでアダジオを見ていただくことになっていた。ひとまずスタジオにご案内。
梅野先生とご挨拶を済ませた先生はさっそくお椅子様たちの梱包を解くようおっしゃった。
私にとってワクイと名がつくところから送られてきたものは、貴重品である。日ごろはモノを乱暴に扱う生き物だけど、丁寧に梱包を解いていた。したら先生が 「破いたらあかんの?」と、おもむろに手を出されビリビリに梱包を解かれた。「これな、川留さん。邪魔にならんかったら、あげるわ。なんかの舞台のときに つかえるでしょ?」「へ・・・・?」。
「あーと」には不釣合いなとっても立派なお椅子様・・。応えるまもなく先生は、例の「甲伸ばし機」を求めて次の梱包へと手をかけた。遅まきながら私もビリ ビリお手伝い。「あーこれこれ!」出てきたのは、なんとも不思議な形のブツ。先生がまずお手本を見せてくださった。「これ・・こうすんのよ!ほら 甲が伸 びるでしょ?」と言われても、もともと先生の甲は普通じゃないから・・・・、と思っていたら「川留さんもやってみて!」といきなりフラレタ・・。「私バレ エしてないので・・」「関係ないわ、そんなこと」「ハア・・・」
進められるままにやってみた。やったときは大丈夫だった、痛くない(やり方がわるかったのかしら?)。問題はその後・・「それで、甲を伸ばした後に 普通にして甲をだしてみて」言われるがままやってみた。・・・。「ぐわっ!」。生まれて初めて足の指が3本ツッタ。
のた打ち回る私を見て先生が楽しんでくださったのでヨシとしよう・・・(?)。

調子よく(?)アダジオも見ていただいて、ホールの準備が出来るのを待っていた。
梅野先生のお着替えをまってお茶タイム・・。キミチャン(梅野先生がわたしの事をトメチャンと呼ぶので私はキミチャンと勝手に呼ぶこともある・・失礼か なぁ・・やっぱし・・苦笑)が「くるみ」の演出の話を始めた。「おもちゃの国」へ行くまでの音が長いからどーこーしようという相談らしい。
「キミチャーン(泣)」。泣きまねをしてみたけれど、あまりに可愛くなかったのか、キミチャンはにっこり微笑んで涌井先生とお話を進めてる・・・。今さら 演出が変わってクララが対応できるかどうか、私にはとっても不安だった。クララは小学6年生、最大の弱点は臨機応変な芝居が不得意だということ(泣)。私 の泣きを無視して演出はドンドンステキな方向に変化する。

抵抗は通用しないと知った私は、しっかり耳をそばだてて、くどいぐらい質問攻めにして記憶の中枢のスイッチをオンにした。「宮本さんとアツコに伝えなきゃ(汗)」・・・。
 

つづく(次へ)

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